当院での治療例
【歯科】
Case1 上顎臼歯の虫歯が引き起こした鼻炎(口腔鼻腔瘻)
来院理由:くしゃみが治ったり、悪くなったりを繰り返す。
処 置:10歳になるミニチュアダックスフント キノコちゃん♀が来院されました。
くしゃみの症状があり、抗生物質を休薬すると症状が元に戻ってしまうため、お薬を止められないとのことでした。
各種検査で上顎奥歯の歯槽膿漏が原因でその近くを通る鼻道にまで影響が出てしまい、鼻炎の症状が出ている可能性が高いことが分かりました。
歯槽膿漏となっている歯を抜歯し、歯全体をクリーニングする治療を提案させていただきました。術後からくしゃみの症状は消失し、抜歯後も目立った外貌の変化がなかったので、飼い主様は喜んで下さいました。
X線画像 |
術後1週の外貌 |
術後1週の外貌 |
Case2 難治性口内炎-猫-
来院理由:ご飯を食べる時にギャッとなく。痛み止めを飲まないと、ご飯が食べられない。
処 置:昔から近医で口内炎を指摘され、お薬での治療を行っていたそうですが、最近はお薬の効きが悪くなり、口臭が強く、ヨダレもひどい状態で痩せてきているとのことでした。
奥歯を全て抜くことで痛みを和らげる全臼歯抜歯の手術を提案させていただきました。
治療させていただきました猫ちゃんたちは翌日~2週間後にはお薬なしで、ご飯をもりもり食べてくれるほどになりました。
備 考:現在のところ、難治性口内炎に対しての最も効果的な治療は全臼歯抜歯もしくは全顎抜歯とされています。
その理由は、外科治療によって歯肉口内炎が完治することがあったり、治すことはできなくても痛みを改善したり、お薬の種類を減らしたりする効果をもたらすことができるからです。
猫の難治性口内炎は○歯肉口内炎○リンパ球性プラズマ細胞性歯肉口内炎 ○プラズマ細胞性口内炎 ○慢性歯肉口内炎 ○慢性潰瘍性歯肉口内炎 ○潰瘍性増殖性口峡炎 ○猫の慢性潰瘍性歯周口内炎 ○口腔後部口内炎 とも呼ばれています。
歯石沈着と歯肉の発赤がみられる |
歯肉全体に発赤と一部に潰瘍や肉芽様組織がみられる |
重度の歯石沈着と発赤・出血がみられる |
Case3 鼻血、鼻出血(上顎の歯槽膿漏)
来院理由:鼻血が出た。
処 置:10歳になるミニチュア・シュナウザーのオリバーちゃん♂は、2日前より急にくしゃみの数が増え、今朝左側の鼻から鼻血が出て、家が血だらけとなってしまったそうです。
各種検査により歯周病によりその近くを通る鼻腔に炎症が起きて、鼻出血を起こしていることが分かりました。歯周病を起こしている歯の抜歯と歯石除去を提案致しました。
オリバーちゃんは手術当日の帰宅後はすぐにご飯を食べたがらず、次の日朝におやつを食べ、それから徐々に食餌量が増えてきました。飼い主様曰く、鼻血から解放されてもすぐにご飯を食べなられなかった理由として、食餌の際にご飯をつかむ役割である前歯がなくなってしまったことで食餌が食べづらくなってしまったからとのことでした。これらの問題は飼い主様が食餌の際にご飯を一箇所に集めたり、一部を口に運んであげるなどの新しいお口で食べる練習により解決できたと教えて下さいました。
Case4 頬からの出血(虫歯による口腔皮膚瘻)
来院理由:以前から虫歯が原因で右頬から出血していたが、お薬で出血を止めていた。最近薬が効かない。
処 置:18歳パピヨンのブン太ちゃん♂は右頬から出血しており、各種検査から出血している頬の部分にある虫歯が原因で化膿し、口と皮膚にトンネルができていました。飼い主様はもともと薬が嫌いなため、投薬することにも苦痛を感じており、虫歯の治療でもう悩みたくないとのことでしたので、全身麻酔下における虫歯治療を希望されました。
ブン太ちゃんの歯ほとんど抜歯対象となり、歯が抜けた部分は縫合処置を行いました。術後2日目まではふやかしたご飯をお口に運んであげる補助治療が必要でしたが、3日目には自らしっかりとご飯を食べるようになり、完全回復してくれました。