犬の眼瞼腫瘍 良性 マイボーム腺腫 乳頭腫 黒色腫

症例紹介

●犬の眼瞼腫瘍(良性、マイボーム腺腫、乳頭腫、黒色腫)

 眼瞼とは“まぶた”を指し、その働きは眼に蓋をすることであり、眼のふちを意味することでもあるそうです。眼瞼の腫瘍は、眼科領域の腫瘍の中で発生率が最も多く、皮膚に発生する腫瘍は眼瞼にも発生するのが特徴です。犬の眼瞼腫瘍は猫と比べると発生頻度が高く、悪性腫瘍よりも良性腫瘍が多く、上眼瞼は下眼瞼よりも僅かに腫瘍の発生率が高いそうです(良性:悪性=3〜4:1  上眼瞼:下眼瞼=4:3)。 眼瞼腫瘍の発生率が高い犬種としてビーグル、シベリアンハスキー、イングリッシュセッターが挙げられます。

 良性腫瘍にはマイボーム腺腫、良性黒色腫、乳頭腫(パピローマ)、組織球腫がありますが、いずれも外科的切除が最も有効です(組織球腫は自然退縮する場合もあります)。ただし眼瞼腫瘍の場合、腫瘍の大きさや存在部位によっては切除後に生活に支障をきたす場合(外科的切除の概要を参照下さい)があります。発生年齢も中高齢の子に多いため、全身麻酔に耐えられる体力があるかなどの評価をしてあげた上で、治療方法を慎重に選ぶ必要があります。眼瞼腫瘍の問題・治療方法について以下の表にまとめてみました。

眼瞼腫瘍の問題点
・まばたきが不完全になり涙量や涙膜に異常をきたす ・外貌の変化 ・結膜炎 ・自潰による感染や出血が起きる ・腫瘍の接触により角膜潰瘍を引き起こしやすくなる
眼瞼腫瘍の
治療方法
概要 特徴
凍結療法

液体窒素などを用いて、腫瘍組織を凍結及び壊死させます。

良性腫瘍でも、治療のやり方によって再発する可能性がある治療法ですが、全身麻酔を必要としないため、高齢や持病を持っている子達に根治目的ではなく、緩和目的として使用されることが多い方法です。

レーザー療法

レーザーの熱を用いて腫瘍を焼く腫瘍焼灼法と、薬を利用して多くの光を集める光線力学的療法があり、多くは腫瘍焼灼法が用いられます。腫瘍焼灼法は、高出力のレーザーの照射による穿孔を起こしてしまう点が欠点です。

放射線療法

放射線量を多く当てられれば、その分だけ腫瘍細胞を殺滅できますが、周囲の正常組織に放射線障害(白内障、皮膚壊死、骨壊死など)が起きるリスクが上がります。外科的切除よりも負担は少ないですが、複数回の全身麻酔が必要であり、費用も高額となることが多いです。

主に効果が認められている悪性眼瞼腫瘍に対して、緩和目的(一時的に腫瘍からの出血を止めたいなど)や、外科的切除後に再発率を減らす目的で用いられます。

外科的切除

全身麻酔が必要であり、一回の治療で根治を望める場合もあるが、広い切除範囲となる場合は外貌の変化や、睫毛の乱生、瞬きの不全で涙膜に支障が出ることもある。

全身麻酔が必要ですが、治療だけでなく腫瘍診断も行えるのが特徴ですが、担当の先生と十分に相談してから決定しましょう。

 当院で治療を担当させて頂きましたわんちゃんたちは、中高齢の子達が多いのですが、術後も再発や体調を崩すことなく元気に過ごしてくれています。どの治療を選択する場合でも、担当の先生と十分に相談し、決定していただくことが重要です。

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