犬の鼻血、鼻出血 上顎の歯槽膿漏

症例紹介

●犬の鼻血、鼻出血(上顎の歯槽膿漏が引き起こした鼻炎と出血)

 10歳になるミニチュア・シュナウザーの男の子 オリバーちゃんが鼻血を主訴で来院されました。
2日前より、急にくしゃみの数が増え、左側の鼻から鼻血が出るようなったとのことでした。
 わんちゃんの鼻血の原因として下記のような病気が考えられます。

鼻血の原因となる病気 特徴 治療
鼻炎(細菌性、真菌性、ウイルス性、アレルギー性、異物など) 炎症の初期では鼻粘膜の炎症により、サラサラとした鼻汁から、慢性化するとネバネバした膿性鼻汁に変わります。さらに進行すると元々血管が多い鼻粘膜から容易に出血が起き、場合によって多量な出血となります。 症状を緩和するもしくは根治させるためにお薬治療や異物除去治療が必要となります。
歯牙疾患(虫歯、歯石、齲歯、歯槽膿漏、口腔腫瘍など) ほとんどの場合、歯根で炎症が起きているため、その近くを通る鼻道にまで影響が出てしまい、鼻炎の症状が発現します。口腔腫瘍の場合、鼻腔にまで浸潤が広がっていることも疑われます。 虫歯などの場合、歯石除去や消毒、抜歯などが必要となります。
口腔腫瘍の場合、外科治療や化学療法、放射線療法、免疫調節薬などによる治療があります。
鼻腔腫瘍 抗生剤、ステロイド剤、消炎鎮痛剤の使用で一過性に症状が改善することもあります。腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、リンパ腫、移行上皮癌、扁平上皮癌、良性のポリープなどの報告があります。 悪性腫瘍であった場合、現在のところでは放射線治療が第一選択治療となる場合が多いです。また、様々な治療を組み合わせる集学的な治療を行うことで、治療成績が向上しています。
止血異常 血が止まりにくくなる病気により、血管が多い鼻粘膜から出血が起こることもあります。
これらの病気には、血小板数の減少や機能の低下を引き起こす病気、凝固因子が枯渇している病態もしくは欠損していることで起きる病気が挙げられます(特発性血小板減少性紫斑病、多発性骨髄腫、DIC、血友病など)。
病気の原因によって、治療方法が全く異なります。
そのため、正確な診断が重要です。

 オリバーちゃんの場合、歯牙疾患(特に上顎の歯槽膿漏)が鼻炎と鼻出血を起こしている可能性が高く、ほとんどの歯が歯石を除去すると、グラグラと抜けてしまうものでした。

 鼻炎の原因となる歯の抜歯と消毒・抜歯した部分をお口の粘膜を使って閉じてあげる手術を実施することで、オリバーさんの鼻血・くしゃみは手術直後から認められなくなりました。

写真①

 飼い主様曰く、オリバーちゃんは手術当日の帰宅後はすぐにご飯を食べたがらず、次の日朝におやつを食べ、それから徐々に食餌量が増えてきたとのことでした。鼻血から解放されてもすぐにご飯を食べなられなかった理由として、痛みもあったが、食餌の際にご飯をつかむ役割である前歯がなくなってしまったことで食餌が食べづらくなってしまったからとのことでした。これらの問題は飼い主様が食餌の際にご飯を一箇所に集めたり、一部を口に運んであげるなどの新しいお口で食べる練習により解決できたと教えて下さいました。手術を頑張ったオリバーさんとオリバーを支えるご家族の方に感動です。

写真②

 

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