歯垢・歯石除去(歯垢歯石の沈着により引き起こされた歯周病)

症例紹介

●歯垢・歯石除去(歯垢歯石の沈着により引き起こされた歯周病)
写真1:歯垢・歯石除去前
写真1:歯垢・歯石除去前

11歳になるトイ・プードルの女の子が歯周病治療を目的として歯垢歯石の除去を希望されました。口臭と沈着した歯石により赤くなっている歯肉を元に戻したいとのことです。
歯周病は歯が汚れるだけではなく、歯槽膿漏により痛みを起こしたり(そのため、痛みで有名な猫ちゃんの難治性の口内炎は歯周病をコントロールすることで痛みが軽減されます)、特に上顎の歯で歯周病が原因で鼻炎を起こしたり(症例紹介の口腔鼻腔瘻を参照下さい)、歯の根元に膿が溜まり頬を腫らしてしまうこともあります(後日症例紹介を追加致します)。

 

原因となる歯石は歯垢が、唾液中のミネラルと結合し、硬くなって出来ます。歯垢は大半が水分で形成され、残りの固形成分の70%が細菌です(残りの30%は細菌が出した老廃物や唾液・歯肉からの滲み出たタンパクが含まれ、多くが口腔内環境に悪影響を与えます)。
歯周病は、歯の表面が汚れて歯周病になるわけではなく、歯と歯肉の境目が破壊されて歯周病となります。歯と歯肉の境目が破壊されるまでには、その機序が解明されています。
歯の表面には、唾液由来の糖タンパク質の膜が覆って歯を守ってくれています(この膜はペリクルといい、細菌の作り出す酸による歯の溶解を遅らせたり、歯から溶解したカルシウムや酸イオンの消失を遅らせる働きがあります)。
この膜の上についた細菌が増殖し、自らつくったバリア(バイオフィルム)に閉じこもり悪さをし始めることから歯周病は始まるのですが、歯磨きで細菌数を減らすことや、細菌がバリアを張って中で悪玉菌が増える前に歯周周囲に特殊な製剤を用いて、細菌叢の調整を行なうことで歯垢・歯石の付着の予防が期待できます。

今回、オーナー様には一度ついてしまった歯垢・歯石は、歯磨きや特殊な製剤などのお薬による治療では効果が期待出来ないこと、一度すべて除去してからそれらの治療を継続して行なうことで、スケーリング後の歯垢・歯石の再沈着が予防出来ること、無麻酔では時間がかかり過ぎることや、わんちゃんに対する保定や機械の振動や音に対するストレスが多く、かえってデメリットが多いことをご説明し、全身麻酔下での超音波スケーラーによる歯垢・歯石除去を提案したところ、これを希望されました。
日帰り治療を計画し、午前中お預かりして、お昼に治療。夕方には無事に帰宅し、ご飯も元気に食べることが出来たとことでした。

お疲れさまだね。さあ、これから歯垢・歯石予防頑張ろうね。

写真2:除去後(右側)
写真2:除去後(右側)
写真3:除去後(左側))
写真3:除去後(左側)
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