線維骨性エプリス(上顎切歯歯根膜から発生した良性腫瘍)

症例紹介

●線維骨性エプリス(上顎切歯歯根膜から発生した良性腫瘍)
線維骨性エプリス
写真1:腫瘍の外貌1

口の中に腫瘍ができたとのことで5歳齢のトイプードルさんが来院されました。
発生時期は不明で、もともとケージをよく噛む癖があるそうです。本日はケージを噛んだ後に口から出血をしていたため、口の中を覗いてみたところ、腫瘍を発見したとのことでした。
腫瘍は上顎の左第1、2切歯の間より発生し、両歯ともに歯列の変位を起こしていました。X線検査では左第1、2切歯共に歯根腔の拡大が認められました。

線維骨性エプリス
写真2:腫瘍の外貌2
わんちゃんにとって口の中にできる腫瘍が全腫瘍中第3位にあたり、その中でも悪性腫瘍が発生しやすい部位でもあります。もし口の中にできた腫瘍が悪性腫瘍であった場合、早い段階で転移を起こしてしまうような種類も存在します。
飼い主様にはこの子にとって、最善の治療をするためにも病理検査を行ってから治療を始めることとなりました。幸いにも出血していたところは血が止まっていたため、これ以上局所がひどくならないように抗生物質をのんで、病理検査結果を待ってもらいました。
線維骨性エプリス
写真3:レントゲン検査画像
(矢頭は左上顎第1、2切歯の変位)
病理検査は“線維骨性エプリス”、歯の歯根膜から発生する腫瘍であり、腫瘍と顎の骨ごと切除するような負担の大きい治療は必要しません。
ただ、良性とはいえそのままにしていると、腫瘍が大きくなり、食事が食べづらくなる、顔の外貌が変わってしまう、腫瘍が大きくなることでより物にぶつかりやすくなり、出血を起こすことが多くなってくるなどのリスクが増えてきます。
飼い主様には腫瘍が発生した歯の根元に腫瘍の大元があるため、抜歯とその周りの歯槽骨を削る手術を提案し、それを希望されました。
手術後の定期検診は飼い主様が遠方にお住まいのため、ご都合の良いときに来院していただくよう指示したところ、手術後およそ4ヵ月経った頃お電話を頂きました。一度術創を気にしていたこともあったが、現在は再発もなく良好とのことでした。本当に良かったです。

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